響きの森文京公会堂 文京シビックホール

~2018年7月20日(金)「夜クラシックVol.17」~仲道郁代(ピアノ)仲道祐子(ピアノ)
スペシャルインタビュー

ピアノ 仲道 郁代 Ikuyo Nakamichi

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©Kiyotaka Saito

 桐朋学園大学1年在学中に日本音楽コンクール第1位入賞・増沢賞を受賞。文化庁在外研修員としてミュンヘン国立音楽大学に留学。ジュネーヴ国際コンクール最高位、エリザベート王妃国際コンクール入賞を重ね、1987年ヨーロッパと日本で本格的な演奏活動を開始。
 これまで日本の主要オーケストラと共演する他、マゼール指揮ピッツバーグ響、バイエルン放送響、フィルハーモニア管、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルをはじめとする海外オーケストラとの共演も数多い。
 デビュー30周年を迎えた2016/17度シーズンは、全国各地で記念公演を行った。冠番組も放送され、連動した全国ツアー「BSフジpresents 仲道郁代”ロマンティックなピアノ”」を開催。 本全国ツアーは好評により2018年度も継続して行うことが決定し、番組の再放送も行われる。
 2027年にデビュー40周年とベートーヴェン没後200周年が重なる記念年に向け、「Road to 2027」と題し、春:ベートーヴェンを核としたシリーズ、秋:親密(intimate)な空間の中でピアニズムを追求したシリーズと、10年間の2つのリサイタルシリーズを2018年よりスタート。

 地域創造理事、桐朋学園大学教授、大阪音楽大学特任教授。

仲道郁代オフィシャル・ホームページ
http://www.ikuyo-nakamichi.com

ピアノ 仲道 祐子 Yuko Nakamichi

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©Akira Muto

 心に染み入る情感豊かな音楽性と暖かい音色を持ち味とし、聴衆に愛されるピアニスト。
 金原美津子、安倍紀子、故中島和彦の各氏に師事。アメリカにてシルヴィア・ミューリング氏に師事。
 桐朋女子高等学校音楽科に進み、卒業後渡独、クラウス・シルデ氏に師事。ミュンヘン国立音楽大学、同大学院ピアノ科及び室内楽科を卒業。ドイツを拠点にソロ活動を行う。
 海外で数々の国際コンクール入賞後、日本での本格的ソロ活動を始め、現在は各地でのリサイタルの他オーケストラとの共演をはじめ室内楽の分野でも活躍している。
 2006年より、朗読劇「月光の夏」(劇団東演との共同制作プロジェクト)にピアニストとして毎年出演するなど、平和について考えるコンサートや社会的意義のあるコンサートにも意欲的に参加している。更に、音楽教育の普及に深い関心を示し、子供達と音楽の楽しさやピアノの楽しさを分かち合うコンサートや、朗読とのコラボレーションなどの多彩なコンサート活動にも力を注いでいる。ピアノの歴史300年をピアノ曲とお話でたどるコンサートも好評を得ている。
 ビクターエンタテインメントより発売中のCDも好評。

 大阪芸術大学演奏学科教授。

取材・文:高坂はる香 写真:星ひかる

しっかりした妹と、“わがみちいくよ”の姉によるデュオでやっております(笑)

——仲道郁代さんはシリーズ4度目、今回は妹の祐子さんとのピアノデュオでのご登場です。2002年にデュオ・アルバムをリリースされるなど以前から共演されていますが、姉妹デュオでの活動はどのように始まったのでしょうか?

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郁代:いつかやってみたいと思っていたことが実現した形でした。子供の頃、ちょっとしたパーティーで連弾することはありましたが、いつも一緒に弾いていたわけではないんですよ。でも、初めて妹と弾いたときは、赤ちゃんのときから見ていた妹とこうして一緒に弾けるようになる時が来たんだと子供ながらに思って、嬉しかったですね。私は小さい頃、レコードで名奏者の演奏を聴いて育ちましたが、妹は可哀そうなことに、私の練習を聴いて育ったの(笑)。

祐子:間違えて弾いているところがあると、それが私にも自動的に刷り込まれました(笑)。

——姉妹でステージに立つときの気分は、他の方との共演に比べていかがですか?

郁代:相手の音の感じがわかるから、良い部分もあり、遠慮なく厳しくなる部分もあり。

祐子:姉との共演の場合、彼女がリハーサルで話していたのと大幅に違うことをやることがあるのですが、そんな時は「来るぞ…」となんとなく予感できるんですよね。やっぱり長年の付き合いですので。

——コンサートはドビュッシー「月の光」で始まります。この曲はデュオ・アルバムにも収録されていますが、今回も2台ピアノ版を演奏されますか?

郁代:その予定です。真っ暗なステージで演奏を始めるのが恒例ですから、奏者が離れている2台ピアノの場合、どう出だしを合わせるかが問題ではありますが…本番までに良い方法を考えたいと思います。

——お二人で練習をされる時は、どのような感じなのでしょうか?

祐子:姉がたくさんしゃべります。音で表現する前に、延々と構想を話して聞かせてくれるんです(笑)。

郁代:私、そういうタイプなんです。言葉にすると考えが明確になりますから。相手が妹だと、いつも以上に遠慮なくしゃべってしまいます。

——それに対して祐子さんは?

祐子:ひたすら聞いています。何か言うと、そのあと2倍、3倍になって言葉が返ってくるので(笑)。

郁代:知らない方だとちょっとは遠慮するんですけれどね。しっかりした妹と、“わがみちいくよ”の姉によるデュオでやっております(笑)。

楽器の違いを聴き比べることもできておもしろいと思います。

——さて、多彩なプログラムが並んでいますが、どのように選曲されましたか?

郁代:すでに弾きこんだ作品をお届けしたいということ、また、バラエティに富んだ音絵巻を聴いていただきたいということを念頭に選びました。モーツァルトのソナタは、グリーグが2台ピアノに編曲したものを演奏します。暖炉のあるお部屋っていいな、家族っていいな、なんていうことを感じるような、おしゃれで心あたたまる作品です。

祐子:モーツァルトらしい音楽の中にグリーグの要素が入っていることで、少し北欧風のひねりの効いたなつかしさを感じます。そして、退廃的できらびやかなラヴェル「ラ・ヴァルス」などのフランスものの後、ホルストの「ジュピター」というわくわくした世界が広がります。まるで玉手箱のようなプログラムです。

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郁代:同じフランスものでも、オーケストラの色彩の世界をピアノ2台で表現する「ラ・ヴァルス」と、こぢんまりした空間を想定して書かれたドビュッシーの「小組曲」とで、音作りに違いを持たせ、また、音色の絡み合うさまを、ちゃんと聴こえるように表現したいと思っています。ピアノが増えてただ音が大きくなったというのではなく、1台では聴こえなかった別の魅力を味わっていただけたら嬉しいです。しかも今回は、以前から文京シビックホールにあったスタインウェイと、私が選定して5月にお披露目されたばかりのスタインウェイの2台で演奏します。楽器の違いを聴き比べることもできておもしろいと思います。

祐子:二人で同じメロディを交互に弾くこともありますが、そんなときには、表現を揃えるのか、あえて変えるのか、別々の楽器以上にとても意識しますね。たとえ同じ教育を受けてきた姉妹でも音色が違うところ、やっぱり同じだというところなど、楽しんでいただければ。

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——2台ピアノ版「ジュピター」の聴きどころはどこでしょうか。

祐子:最初の部分など、1台で弾くのとは全然違うキラキラ感があり、さらにステレオのように立体的に聴こえるところも魅力です。

郁代:そのあと一瞬の間があって、パーン!となる、あのエネルギーや瞬発力は、1台ピアノとは桁違いですね。そして最後に向かってうねりのように音楽が盛り上がり、バン!と終わる。解放される喜びがとても大きいのです。

他の楽器との共演より緻密な音楽づくりができるのが醍醐味です。

——2台ピアノのおもしろさは、どんなところにありますか?

郁代:特に感じるのは、キレがよく格好いい表現が多いところ。作曲家も、1台ピアノのための作品を書く時とは違ったメンタリティで、切れ味や粋な表現、2つの楽器を打ち鳴らす効果を意識して書いていると思います。2台ピアノは、信頼できるパートナーと演奏できると本当に楽しいんです。……妹は、いつもリハーサルと違うことをする私をあまり信頼できないかもしれませんけれど(笑)。

祐子:それも想定に入れて弾いているから大丈夫(笑)。ピアノ同士のデュオは、とくに相手が姉だと余計、次にどんなことをやりたいのか、何がくるのかが見えるので、他の楽器との共演より緻密な音楽づくりができるのが醍醐味です。相手がそのパートをどのくらい大変な思いをして弾いているかもわかるので、いろいろ理解したうえで挑戦できます。

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——ご来場のみなさんに、こんな時間をお届けしたいという想いをお聞かせください。

祐子:コンサートは、非日常。お仕事などを終えて会場にいらした1時間半、普段と全く違うワクワクした時間を過ごして、また日常に戻るとき、勇気や元気を持ちかえっていただきたいですね。

郁代:プログラムにはいろいろな方向性があると思いますが、今回は、細胞がはじけるような、めくるめく音の饗宴、エネルギーチャージしていただける内容です。7月の金曜日の夜にぴったり、聴き終わった高揚感とともに、ビールやシャンパンを飲みたくなるかもしれません。音楽に身を浸して、明日から週末だ!という爽快な気分とともにホールを後にしていただけたらと思います。

仲道郁代 仲道祐子 スペシャルメッセージ

プロフィール

取材・文 高坂はる香

音楽ライター、編集者。大学院でインドのスラム支援プロジェクトを研究。その後2005年よりピアノ専門誌の編集者として、ピアニストや世界の国際ピアノコンクール等の取材を行う。2011年よりフリーランスとして活動。雑誌やCDブックレット、コンクール公式サイトやWeb媒体への寄稿のほか、
「クラシックソムリエ検定公式テキスト」の編集などを手掛ける。
HP「ピアノの惑星ジャーナル

夜クラシックVol.17

2018年7月20日(金)19:30開演 文京シビックホール  大ホール

公演情報

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