響きの森文京公会堂 文京シビックホール

~2018年9月8日(土)「フレッシュ名曲キャンペーン響きの森クラシック・シリーズVol.65」~吉田 南(ヴァイオリン)スペシャルインタビュー

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©Yoshihiro Yoshida

ヴァイオリン 吉田 南 Minami Yoshida

 奈良県出身20歳。天理教音楽研究会にてヴァイオリンを開始、12歳で大阪フィルと協演しデビュー。以降ヘルシンキフィル、フィンランド放送響、モントリオール響の他、5度の大阪フィル、東京響・東京フィル・東京シティフィル・東京都響・神奈川フィル・群馬響・京都市響・関西フィル等々との協演を重ねる。
 2010、2012年全日本学生音楽コンクール小・中学校の部で連続第1位を受賞後、2014年高校1年で日本音楽コンクール第1位及び5つの特別賞を受賞。2015年シベリウス国際ヴァイオリンコンクール最年少入賞、2016年モントリオール国際音楽コンクール最年少第3位入賞。(公財)岩谷時子音楽文化振興財団第7回『岩谷時子賞Foundation for youth』、桐朋学園アリオン江戸音楽振興基金第3回『アリオン音楽賞』受賞。2017年より江副記念財団奨学生。
 現在、米国ボストンのニューイングランド音楽院に学費全額免除相当の“Dean's Scholarship(学長奨学金)”を授与され在学中、ミリアム・フリード氏に師事。同時に桐朋学園大学ソリストディプロマコース学費等全額免除特待生、原田幸一郎氏に師事している。

取材・文:柴田克彦 写真:星ひかる

演奏する機会を頂けることが私にとっては重要です。

——ヴァイオリンを始めたきっかけを教えてください。

 3歳のとき、テレビで綺麗なドレスを着た女性 ― 後でわかったのですが、千住真理子さんでした― が、ヴァイオリンを弾いているのを観て魅了され、両親に「自分もやりたい」とお願いしたのがきっかけです。でも生まれたのは奈良の田舎。両親はどこにそんな楽器があるのかもわからず、2年間は古いギターなどをあてがわれていました。それでもずっと言い続けて、5歳のときにやっと始めさせてもらいました。

——全日本学生音楽コンクールの小・中学校の部で連続第1位、高校1年のときに日本音楽コンクールで第1位を獲得されるなど、その後は順調ですね。

 コンクールの1位はたまたまです。中学まで奈良にいて、地元の音楽研究会という所で習い、桐朋女子高等学校で原田幸一郎先生に師事しました。2017年3月に卒業後、桐朋学園大学のソリストディプロマコースに進学して、英語の予備校に通いながら留学の準備をしました。そして、今年1月からボストンのニューイングランド音楽院で学んでいます。

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——ボストンの音楽院を留学先に選ばれた理由はなんですか?

 ミリアム・フリード先生がいらしたからです。国際コンクールなどで先生を知って、ずっと師事したいと思っていました。そこで、高校2年生の夏休みにベルギーでマスタークラスを受け、自分から「門下に入れてください」とお願いしました。でも音楽院に入るのは英語の試験があったので大変でしたね。

——国内だけでなく、2015年シベリウス国際ヴァイオリン・コンクール入賞、2016年モントリオール国際音楽コンクール第3位入賞を、いずれも最年少で果たされています。吉田さんにとってコンクールの意味とは?

 優勝や入賞を意識するのではなく、演奏する機会を頂けることが私にとっては重要です。ラウンドが進めば何回も弾けますし、ファイナルではオーケストラと共演できることも多い。運良く入賞すれば演奏会のお話を頂けることもあります。それに国際コンクールに出ると、外国の友だちが増えます。

皆と音楽を作るのが大好きなので、そこを楽しみにしています。

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——これまでの演奏活動は?

 リサイタルは中学1年生のとき兵庫で初めて行い、その後は年2~3回のペースでやっています。ただコンチェルトの方が多いですね。最初にオーケストラと共演したのは小学4年生のとき。地元でクライスラーの小品を弾きました。コンチェルトは中学1年生のとき大阪フィルとブルッフ作曲の「スコットランド幻想曲」を共演したのが最初で、これまでに(東響、都響、神奈川フィル、群響、京響ほか様々な著名楽団と)バッハ、モーツァルト、パガニーニ、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキー、シベリウス、バルトーク、プロコフィエフなどの協奏曲を演奏しました。ただ、ベートーヴェンの協奏曲は、今回が初めてです。

——今回共演する東京フィルと共演したことはありますか?

 高校1年生のとき、日本音楽コンクールの受賞記念演奏会で、サラサーテ作曲の「カルメン幻想曲」を共演していますが、本格的な協奏曲をご一緒させていただくのは初めてです。先日リハーサルを少し聴かせて頂き、オーケストラの音がとても分厚いと感じました。今回はそこに上手く乗って、ソリストと伴奏ではなく、一緒にシンフォニーを演奏するような感じで弾きたいと思っています。

——指揮の小林研一郎さんとの共演は?

 初めてご一緒させていただきます。でも先生の演奏会には小さいときからよく行っていました。すごく熱い指揮をされる方ですので、私も燃えて弾きたいですね。

——ベートーヴェンの協奏曲についての印象は?

 燃えるといっても、“内で燃える”イメージ。協奏曲全般に対する考え方でもあるのですが、特にベートーヴェンの協奏曲は、シンフォニー的に捉えた方が良いと思っています。今この曲を学んでいるフリード先生からも「ここはこの楽器が弾いているから、こういう音を」といった指導を受けていますし、私はオーケストラや室内楽で共演者と音楽を作るのが大好きなので、そこを楽しみにしています。ちなみにカデンツァ〈*〉は、一番好きなクライスラー作のものを弾きます。

〈*〉独奏協奏曲やオペラ等のアリアにあって、独奏楽器や独唱者がオーケストラの伴奏を伴わずに自由に即興的な演奏・歌唱をする部分のこと

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——ベートーヴェンを弾くとなれば、交響曲などを知るのも不可欠ですよね?

 ベートーヴェンの交響曲は、奈良の音楽研究会のときから演奏し、桐朋のオーケストラを含めて、3、5、7、8番を弾いています。協奏曲を練習していて奈良で学んだことを思い出すこともありますし、CDを聴いたりスコアを見たりもしています。それにベートーヴェンは弦楽四重奏曲も好きで、桐朋で組んでいたカルテットでもよく取り上げました。

“人の心に寄り添う演奏ができる”ヴァイオリニスト

——吉田さんにとって、ソロと異なるコンチェルトの妙味とは何ですか?

 オーケストラには様々な方達がいらっしゃるので、皆さんの個性に乗って大胆に弾けること。もちろん、ソナタなどと違ったスケールの大きさはいつも意識しています。

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——今後目指すヴァイオリニスト像をお聞かせください。

 ひと言で言うと“人の心に寄り添う演奏ができる”ヴァイオリニストです。聴く方が楽しいときはもっと楽しくなるような、悲しいときは悲しみにそっと寄り添うような……そんな演奏を心がけ少しでも癒しになればと思っています。

——お好きなヴァイオリニストはいますか?

 師事した先生たちはもちろん尊敬していますし、ハイフェッツ、オイストラフといった往年の巨匠が好きです。

——話は変わりますが、お好きな食べ物は何ですか?

 おつまみ系が好きです。昨日も母と和カフェに行って、薬味豆腐を注文しました。でもアメリカの寮のカフェテリアは、大きいだけのハンバーグやステーキなどが中心なので、炊飯器を使って自分で作るようにしています。自作料理で一番好きなのは肉じゃがです。他に納豆が好きなのですが、近くには売っていなくて、一度我慢できずにバスで遠くのスーパーまで買いに行きました。

——では、音楽以外の趣味やハマっていることはありますか?

 最近ハマっているのは足ツボマッサージ(笑)。あとはお笑いの動画でしょうか。中川家が好きで、同じものを何回も観ています。また日本食の料理の動画を観ることもあります。

——色々なお話、ありがとうございました。本番を楽しみにしています。

吉田 南 スペシャルメッセージ

プロフィール

柴田 克彦(しばた・かつひこ)

音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。
「ぶらあぼ」「ぴあクラシック」「CDジャーナル」「バンド・ジャーナル」等の雑誌、公演プログラム、宣伝媒体、
CDブックレットへの取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や一般の講座も
受け持つなど、幅広く活動中。このほど、「山本直純と小澤征爾」(朝日新書)を上梓。
文京シビックホールにおける「響きの森クラシック・シリーズ」の曲目解説も長年担当している。

フレッシュ名曲コンサート 響きの森クラシック・シリーズVol.65

2018年9月8日(土)15:00開演 文京シビックホール  大ホール

公演情報

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