響きの森文京公会堂 文京シビックホール

極上の室内楽をゆったり堪能するひととき 夜クラシック 2018-2019シーズン ラインアップ紹介

文:高坂はる香

 夜のひととき、優れたアーティストの演奏をゆったり満喫できる《夜クラシック》シリーズ。19時半開演と、仕事帰りでも立ち寄りやすい約90分間の演奏会は、ドビュッシー「月の光」に始まるプログラムと豪華な出演者のラインナップが人気だ。
 そんなコンサートシリーズも、ついに5シーズン目に突入。今話題のアンサンブルから、気鋭ソリスト同士の組み合わせまで、さまざまなアーティストが登場する。演奏と楽しいトークで、クラシックに詳しい人もそうでない人も存分に楽しむことができるので、音楽好きの仲間はもちろん、普段クラシックコンサートに行かない人を誘って出かけるにもぴったりだ。
 来シーズンも楽しみな顔ぶれがずらり。そのラインナップを見ていこう。

Vol.17

2018年7月20日(金)19:30開演

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    ©Kiyotaka Saito

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    ©Akira Muto

出演/曲目

 《夜クラシック》には4度目の登場と、すっかりシリーズおなじみのアーティストとなった、ピアニストの仲道郁代。これまで、ソロや若手奏者とのトリオなどでさまざまな音楽を聴かせてくれているが、来シーズンは、妹の仲道祐子との2台ピアノ・デュオで出演!
 ピアノはよく、その音域の広さ、10本の指で複数の旋律やハーモニーを鳴らせる表現力により、1台でオーケストラのような音楽が奏でられると言われる。2台ピアノはそれが倍となるのだから、表現の可能性も一層大きなものになる。
 仲道姉妹は、お二人それぞれに桐朋学園大学で学んだのち、ドイツのミュンヘンに留学してクラウス・シルデのもと研鑽を積んだ。ソロで活動を行う傍ら、デュオとして共演することもある。
 今回二人が2台ピアノで演奏するのは、まずモーツァルトのピアノ・ソナタ第16番K.545の、グリーグによる2台ピアノ版。モーツァルトの歌う旋律が美しいレースで飾られたかのような2台ピアノならではの音楽を、二人のみずみずしいピアノが表現する。
 そして、ホルストの「惑星」から“ジュピター”。これは、仲道デュオとしてのデビュー・アルバムにも収録されているレパートリーだ。姉妹ならではの、息のぴったり合った力強いサウンドで、神秘的で雄大な宇宙を描き出してくれるだろう。ちなみに同アルバムには「月の光」も収録されているので、シリーズのオープニングテーマ曲は、この2台ピアノ版で聴けるかもしれない。
 美しい姉妹デュオのサウンドに酔いしれるひとときとなりそうだ。

 高い実力と爽やかな容姿で、チェロ界とピアノ界、それぞれの気鋭奏者として幅広い世代から人気を集める、チェロの宮田大と、ピアノの金子三勇士。《夜クラシック》には、両者とも過去に別の共演者と出演しているが、それぞれパートナーを変えての登場となる。
 宮田は、桐朋学園大学卒業。ジュネーヴで学びながらクロンベルグアカデミーにも在学。ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人として初優勝を果たして国際的活動をスタートさせた。若き日から小澤征爾に期待をかけられたチェリストとしても知られ、その共演の様子はドキュメンタリーでも取り上げられた。
 一方の金子は、ハンガリーと日本、二つの血を引き、子供時代はハンガリーで、高校からは日本で学んだピアニスト。バルトークやリストといった、ハンガリーゆかりの作品で高く評価されているほか、クラシックの裾野を広げる活動にも積極的な、意欲溢れる若者だ。
 二人は今回、それぞれベートーヴェンのピアノ・ソナタ「月光」第1楽章(金子)や、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番「プレリュード」(宮田)といった名曲でソロの腕を披露。加えて、ポッパー「ハンガリー狂詩曲」など、この二人ならではの表現に期待できるプログラムを届ける。両者のサウンドと音楽性は、どんなふうに融合するのだろうか。

vol.18

2018年9月14日(金)19:30開演

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    ©Daisuke Omori

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    ©Ayako Yamamoto

出演/曲目

vol.19

2018年12月6日(木)19:30開演

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出演/曲目

 “The Rev Saxophone Quartet”は、若手サクソフォン奏者として今大注目の上野耕平が率いる、東京藝術大学出身の気鋭4人によるサクソフォン四重奏団。ソプラノサクソフォンは上野、そしてアルトサクソフォンは宮越悠貴、テナーサクソフォンは都築 惇、バリトンサクソフォンは田中奏一朗が担う。2013年の結成以来さまざまな活動を行い、2017年に本格デビュー。8月にはファーストアルバムをリリースし、今勢いにのっているグループだ。
 クラシックの楽器の中では歴史が浅いサクソフォンは、四重奏はもちろん、ソロでもオリジナルのレパートリーが多いとはいえない。しかし4人は、サクソフォン四重奏のための名曲や、サクソフォンで聴くことにより新しい魅力が際立つ有名曲の編曲作品により、サクソフォン四重奏の新しい可能性を切り拓こうとしている。
 今回、ドビュッシー「月の光」に始まるプログラムの中で取り上げるのは、主に20世紀フランスの作曲家たち。いずれも、当時のフランスでこのジャンルの先駆的な存在だったマルセル・ミュール・サクソフォン四重奏団のために書かれた作品で、ジャン・リヴィエの「グラーヴェとプレスト」、アルフレッド・デザンクロのサクソフォン四重奏曲を演奏する。抜群のテクニックを持つ四人の若者が、大ホールいっぱいに響かせる音に包まれる、特別な時間となりそうだ。
 また、モリコーネの「ニュー・シネマ・パラダイス・メドレー」は、上野がソロで演奏予定。おなじみの美しいメロディが、サクソフォンのふくよかな音でどのように歌われるのか、楽しみにしたい。

 来シーズンのラストを飾るVol.20もまた、大注目の若きソリスト二人による楽しみな共演。ヴァイオリンの山根一仁は、《夜クラシック》初登場。1995年生まれ、2010年に中学生として26年ぶりに日本音楽コンクールで優勝して注目を集めた。2015年からミュンヘンで学び、ますますその音楽性に磨きをかけている。
 ピアノの北村朋幹は、《夜クラシック》には2度目の登場。前回はチェロの横坂源との共演で趣向を凝らしたプログラムを聴かせたが、今回もまた優れたパートナーを得て、一段とこだわりの光る演目を披露する。
 二人が演奏するのは、まず20世紀前半、激動の時代のポーランドを生きたシマノフスキの「神話―3つの詩」より第1曲「アレトゥーサの泉」。神秘的な響きとドラマを持つ作品だ。そしてドヴォルザーク「4つのロマンティックな小品」より第1番は、卓越したメロディメーカーといわれたドヴォルザークの息の長い歌をヴァイオリンが歌い、ピアノが刻々と色彩を変える音楽を奏でる作品。豊かな情感を持つこれらの楽曲を通して、二人の表現力を存分に味わえそうだ。
 そしてメインとなるのは、50代の円熟期を迎えたブラームスの作品であるヴァイオリン・ソナタ第3番。美しく、ブラームスらしい重厚さとどこか暗い影をはらむこの作品で、20代の二人はどんな世界を表現するのだろうか。北村は先の《夜クラシック》でもブラームスのチェロソナタ第1番を演奏しており、再び夜に聴くブラームスの良さを教えてくれることになる。

vol.20

2019年2月22日(金)19:30開演

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    ©K.MIURA

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    ©TAKUMI JUN

出演/曲目

 「月の光」からスタートするユニークなコンセプトを意識して、ここでしか聴けないプログラムを用意してくれるアーティストも多い。全曲目は、これから各組がさらにアイデアを出し合って順次決定、発表するということなので、引き続き注目したいところ。それぞれの公演が届ける夜の空気の違いを体感できる、シーズンセット券もおすすめだ。
 来シーズンも、今、クラシック音楽界で人気を集める名手が次々と登場する、聴きごたえたっぷりの内容。すてきな音楽との出会いを、どうぞお楽しみに。

プロフィール

取材・文 高坂はる香

音楽ライター、編集者。大学院でインドのスラム支援プロジェクトを研究。その後2005年よりピアノ専門誌の編集者として、ピアニストや世界の国際ピアノコンクール等の取材を行う。2011年よりフリーランスとして活動。雑誌やCDブックレット、コンクール公式サイトやWeb媒体への寄稿のほか、
「クラシックソムリエ検定公式テキスト」の編集などを手掛ける。
HP「ピアノの惑星ジャーナル

夜クラシック2018-2019シーズン セット券(4回連続券)

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シビックチケットのみの取扱い シビックチケット03-5803-1111

 【チケット好評発売中】2018年3月18日(日)までの期間限定販売

4公演セット券 S席9,000円

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